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<life>fool</life>

愚者の人生。

『へんげ』

邦画・は行

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~あらすじ~

 とある静かな住宅地で暮らしている夫婦。そんな二人は、夫(相澤一成)が体をのけぞり恐ろしい叫び声を上げるほどの発作に、たびたび悩まされていた。無数の虫に意識を乗っ取られるような症状を止めようと検査をするが、現代医学の力をもってしても原因はわからず、回復するきざしもない。そんなある夜、夫の肉体がこれまでにないほど不気味な変態を遂げ始める。そして、思いもよらなかった恐怖が夫婦に降り掛かっていく。(シネマトゥディより)

 

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 自主制作ながら、高い評価を得ているというこの作品、近場のゲオに置いてあったので借りてみた。なんかもう、設定からしてしょーもない(いい意味でね!)特撮臭がぷんぷんするぞこれーとわくわくしながら鑑賞したんだけども…。

 予想外にヘヴィな作品じゃねーかこれ。

 冒頭、これは愛の物語である、というテロップが映し出されるのですが、ほんとにね。生半可なラブじゃねーわ、って感じ。心理描写をもうちょっと書き込んでくれれば…と思うところも無きにしも非ず、けど、それを差し引いても観て良かったなあと思える傑作でございました。この監督には、是非とも予算ばんばん使える大物になってほしい。そしてセルフリメイクして頂きたい。

 あと、特典として収録されている『大拳銃』も、面白かったよ。主人公の妻の描き方が、『へんげ』と真逆で笑った。両作品とも、すごく衝動的な映画だと思います。

 

 ネタバレせずに感想書くのがすっごい難しい映画なので、観てみようか迷ってる人に向けて、こんな人にはオススメ、ってのを箇条書きしとこうと思います。

  • 古き良き日本の特撮、怪獣映画が好き
  • ウルトラQとかたまらんです
  • 多少の粗に目を瞑れる
  • 『ぼくのエリ』に感動した
  • 最終兵器彼女』に感動した
  • 『フランケンシュタイン』が好き
  • ザ・フライ』好き

 この辺りの人には喜んで観てもらえるんじゃないかと思うよ!!!

 逆に、僕含め絶賛してる人が多いからっつって安易に観てみようかなあって感じで観て、万人が楽しめる作品ではありませんよ、と注意もしておく。

 

 以下はネタバレ感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一度は夫を裏切るかたちになってでも、病院の手に委ねることを選んだ妻。だけども、ぼろぼろになった夫が、それでも帰る場所が自分のところしかないのだと悟って、もう一度受け入れることを選ぶシーンから物語は加速度を増して面白くなっていく。面白いのはそれからの妻の表情だ。映画冒頭から前述したシーンまでの妻は、なんというか、原因不明の病に苦しむ夫を看病する、疲れきった顔しかしてない。いかにも枯れ果てた中年主婦といった風情である。ところが、帰ってきた夫を受け入れ、彼の食料調達をする妻の姿はどうだろう、あんなお姉さんに声かけられたら、ほいほいついていっちゃうよそりゃ。役者の力恐るべしである。変わり果てた夫にしなだれかかるシーンは、とてつもなくエロチックで素敵。

 そして誰もが言及しているであろうラストの流れ!もうニヤニヤが止まらんかった。秩序の破壊、混沌への誘い。それが世界をぶち壊すものであったとしても、私は愛する。決意というよりは衝動的な「行けえ!」の台詞が、心に突き刺さったよ。かっこよかったなあ。何かを愛するということは、何かを愛さないということなのだ。行き過ぎた愛情は暴力と同義だって、よく思うんだけど、それを暴走させたらこうなった、みたいな感じで、僕は観たいものが観れて大満足でした。愛の名のもとに、世界よ滅んでしまえ!!!

 いやほんと、愛って怖いもんだよ。まじで。

 

 監督は、ある日突然ラストシーンが思いついて、そこからこの映画に取り掛かったらしい。頭おかしいんじゃねえの(褒め言葉)

 一個前の、『ザ・レイド』もそうだったけど、普通の人だったら「いやこれはちょっと1つの作品にするには難しいかもなあ…」って躊躇しそうなところを、全力アクセル全開でぶっちぎってくる作品って面白いよね。